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粉砕とは <1> ~粉砕の定義と目的~

2019/04/20

用語集

粉砕とは <1> ~粉砕の定義と目的~

粉砕の定義

「粉砕」【Comminution, Crushing, Grinding】は、ある大きさの(固体)材料に何らかの外力を加えて破壊し、元の大きさよりも小さく(細分化)することです。粉砕は古くから、鉱石、ガラス、セラミックスをはじめ、穀類、塗料、医薬品など、多くの材料を対象として行われてきました。

左:Stamp mill、中央:Millstone、右:Mortar & Pestle

粉砕の目的

粉砕の目的を大別すると、下記の①-③ですが、最近では④-⑧の目的も加わっています。
粉砕は単に粒子径の減少だけではなく、新しい材料開発の一操作としても使われるようになってきており(*1)、期待される効果は様々です。

粉砕の目的

粉砕の過程

次に粉砕の過程を見ていきます。
外力によって粒子が弾性変形し、粒子の応力限界を超えた点でクラックが発生します。そして、クラックの伝播によって粒子が破壊され、粉砕が完了すると考えられています(*2)

粉砕の過程

粉砕過程における粒子の破壊には「表面粉砕[Surface grinding]」と「体積粉砕[Volume grinding]」の2つの破壊形態があります。

表面粉砕は、粒子表面から小片が剥がれ、次第に多数の微粒子となります。粉砕途中の粒子径分布は二峰分布になることが多いのが特長です。また、磨砕では表面粉砕が支配的となります(*3)(*4)
体積粉砕は、粒子表面からではなく粒子全体からばらばらに数個の塊に割れて次第に粉々になります。圧縮粉砕、衝撃粉砕では体積粉砕が支配的となります(*3)(*4)

表面粉砕と体積粉砕

粉砕機構について

粒子に付与される外力は「圧縮[Compression]」「衝撃(衝突)[Impact]」「せん断[Shear]」「摩擦[Friction]」の4つに大別されますが、実際の粉砕機構は複雑で、1つだけでなく数種類の外力が同時に作用する場合もあります(*3)
また、砕料の物性や粉砕される環境などによっても複雑に影響を受けるため粉砕過程を明確に説明するのは困難です。以下にRumpfが示した固体に作用する力のモデルを示しています(*5)

粉砕のメカニズムに関するRumpfのモデル

<圧縮粉砕>
二つの作業面が相対にゆっくり接近することにより物体に均一に圧力を加えて押しつぶします。大きな硬質物体を小さな塊にし、粗砕に使用されます。

<衝撃(衝突)粉砕>
高速運動の衝撃体(ハンマーやボール等)が瞬間的に物体に衝撃を与えたり、物体同士が高速で衝突したりすることにより粉砕します。中小程度サイズ(10㎝以下)の粉砕です。

<せん断粉砕>
物体がカッターのような、くさび状の物によって小片に切断されます。脆い物体の粉砕に適しています。

<磨砕(摩擦による粉砕)>
物体が2つ以上の相対に移動する作業面に挟まれ、作業面の移動により物体と作業面に摩擦が発生し、物体の表面から順次に小片が削り取られます。摩擦的に粒子に圧縮力、せん断力を加えて粒子表面より徐々に微粉を生産するため、超微粉砕に適しています(*3)

※参考文献
(*1) 坂本宏: “破砕・粉砕”資源と素材 Vol. 113 No.12 899-903 (1985)
(*2) 粉体工学概論 52-57 日本粉体工業技術協会
(*3) 神田良照:“粉砕の研究と技術史に関する調査” 素材物性学雑誌 第9巻 第2号 87-110(1996)
(*4) 井上外志雄: “何が粉砕効率の向上に寄与するか?”粉体工学会誌 Vol. 22   No.6 71-76 (1985)
(*5) BSI 生物化学研究所HP 「肥料化工学」-粉砕
(*6) 中山勉: 超微粒子・ナノ粒子をつくるビーズミル P23-28、P29、P34-35
(*7) 粉体用語ポケットブック 日本粉体工業技術協会
「粉砕」と「破砕」、何が違うの?

「粉砕」や「破砕」の英語表記にはいろいろな単語があり、業界や人によって使われ方は様々です。
広義の粉砕をいう場合はSize Reduction、固体の細分化に限る場合はComminutionを使用することが多く、狭義の粉砕(鉱業では磨鉱ともいいます)をいう場合はGrindingが使われています。Grindingは、比較的細かい粒子径の領域での粉砕のことをいい、破砕と区別することがあります。このほか、Pulverization、Millingなども使われます。 シンキーでは、Pulverizationを使っています。
「破砕」をいう場合は、Crushingが使われることがあります。Crushingは砕製物の粒子径が比較的大きい(最大粒子が1㎜以上)領域での粉砕のことを指しますが、狭義の粉砕と破砕の間に明確な境界はなく、その区別は曖昧です。

粉砕とは <2> ~粉砕の方式と粉砕機~

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