ご存知ですか? 実は身近な練太郎!「なんこう練太郎」誕生秘話
2014/12/09
2000年の展示会が、私たちシンキーと神戸学院大学の福島教授との出会いでした。
「あわとり練太郎」のデモをご覧になった福島先生は、一目で惚れ込み、「これは軟膏を作るのに最適な機械かもしれない!」と思われたそうです。
このひらめきこそ、「なんこう練太郎」が世に出るきっかけだったのです。
今では、全国の薬局でご愛用いただき、業界標準機となった「なんこう練太郎」。その誕生秘話をお届けします。
Contents
- 1 1.「練太郎」と出会われたきっかけは?
- 2 2.どうして軟膏を練るのに向いていると思われたのですか?
- 3 3.当時は手で練られるのが一般的だったのでしょうか?
- 4 4.軟膏を練るのにどのくらい時間がかかりましたか?
- 5 5.「練太郎」を導入されてからは、どのくらいでできるようになったのでしょうか?
- 6 6.当時はどのような経皮吸収製剤のご研究だったのですか?
- 7 7.リドカインというと粉状のものですよね?
- 8 8.リドカイン製剤は手で混ぜられていたのですか?
- 9 9.「練太郎」の脱泡機能が役立った点は?
- 10 10.「密閉容器内で調剤できる」ということで感じられたことは?
- 11 11.知り合いの方に「練太郎」の話を広めていただいたと聞いておりますが。
1.「練太郎」と出会われたきっかけは?
まったくの偶然でした。あるメーカーと共同開発をしていて、2000年のインターフェックス展に出展したのですが、「面白い機械はないかな?」とぐるぐる会場を回っていた際に、この機械がパッと目に入りました。見てすぐに、「これは軟膏を作るのに最適な機械だ!」と思い、すぐにその場で担当の人とディスカッションしたのを覚えています
2.どうして軟膏を練るのに向いていると思われたのですか?
私は大学に移る前に10年間薬剤師をしていたのですが、軟膏を混ぜるのは、結構時間がかかって大変な仕事でした。色々なものを混ぜようとすると調剤に時間がとられて、なんとかならないないものかと薬剤師の誰もが思っていたと思います。それで、この機械なら簡単にできそうだったので、むしろ何でそれに使わないのかなと不思議に思ったのです。
3.当時は手で練られるのが一般的だったのでしょうか?
そうですね。手で練るか、量が多くなったらプロペラでぐるぐる回すとか、あるいは乳鉢、乳棒で混ぜるとか、いずれにしても、時間がかかる方法でやっていましたね。
4.軟膏を練るのにどのくらい時間がかかりましたか?
20g混ぜるのに、10分くらいはかかるでしょうね。
それにヘラも掃除しなければならないですしね。
5.「練太郎」を導入されてからは、どのくらいでできるようになったのでしょうか?
うちは大学なので、業務で使うことはないのですが、「経皮吸収製剤」を使うために軟膏を作ることがあって、その時はしっかり混ぜないといけないので、結構時間がかかっていました。これを導入してからは簡単に、しかも誰がやっても同じ物ができるので、非常に助かっています。
6.当時はどのような経皮吸収製剤のご研究だったのですか?
リドカイン(局所麻酔薬)の経皮吸収をテーマにやっていました。子供達が針を刺すのを嫌がるので、そこを麻痺させて痛くないようにするというようなものです。今は製品にもなっていますが、当時はそういう実験をしていて、そのためにリドカインを含む軟膏を作っていました。
7.リドカインというと粉状のものですよね?
はい。リドカインをプロピレングリコールという溶剤に溶解させて、それを基剤に混ぜあわせます。つまり液体のものを基剤の中に混ぜこみます。
8.リドカイン製剤は手で混ぜられていたのですか?
そうですね。一度温度をかけて溶融させてそれを冷やして固めるのですが、その段階で分離してくることもあって、どうやってやったらいいかなと思って、手でぐるぐるかき混ぜながら作っていました。その手間のかかる作業が、練太郎だと30秒足らずでぱっとでき、また、何と言っても、誰が作っても同じようになるというところが嬉しかったです。
9.「練太郎」の脱泡機能が役立った点は?
塗りやすさが違いましたね。動物に塗るときに塗りやすくなりました。それと、自らが関わった実験ではなかったのですが、塗るのではなく貼り付ける製剤を使用した場合に、泡の存在は有効面積を変化させてしまうので、そういう意味では、泡がない方が再現性のあるものがとれるというメリットがありました。
10.「密閉容器内で調剤できる」ということで感じられたことは?
容器の中で色々なものが簡単に作れてしまうし、その後の洗浄やそれに付随する作業が簡略化されるので嬉しいですね。それから、定量的にできるのも嬉しい点です。手で混ぜるとどうしても量が不正確になることがありますが、これだと正確に測れて、しかも均一になるので、そういうところも良い点だと思います。
11.知り合いの方に「練太郎」の話を広めていただいたと聞いておりますが。
軟膏に応用するにあたって、様々なデータを取って根拠を示すことが必要だったのですが、大学でやるよりは現場の薬剤師の方がやってくれたほうがインパクトがあるだろうと思い、阪大(病院)に勤めた卒業生を紹介しました。
それがきっかけとなり、やがて「なんこう練太郎」が誕生し、今では全国の調剤薬局でご愛用いただいております。福島先生は、「なんこう練太郎」が日本と言わず世界中に普及してほしいと仰っしゃいます。福島先生、貴重なお話をありがとうございました。
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福島教授のインタビュー
上記内容を含むフルバージョン動画を公式サイト上でご覧になれます
福島 昭二 先生
神戸学院大学薬学部 薬学科 教授
薬学博士
◆経歴
1982年3月 北海道大学薬学修士修了
1989年9月 薬学博士号取得(熊本大学)
1982年4月~1992年3月:熊本大学医学部附属病院薬剤部・文部技官薬剤師
1992年4月:神戸学院大学講師、2001年10月:同助教授、2006年4月:同教授