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ナノコンポジットと3Dプリンティングへの可能性

2018/08/22

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ナノコンポジットと3Dプリンティングへの可能性

2018年7月、シンキーでは米テキサス大学オースチン校のJoseph H. Koo教授をお招きし、シンキー講演会2018を開催しました。Koo教授は、同校機械工学科のポリマーナノコンポジット技術研究所の教授兼所長でいらっしゃいます。

今なぜナノコンポジット材料が注目されているのか、ナノコンポジット材料は、機械的な強度が優れているだけではなく、熱特性や導電性を高められるという特長があります。Koo教授は、2016年にケンブリッジ大学プレスから「Fundamentals, Properties, and Applications of Polymer Nanocomposites」を出版されており、今回の講演はこの著書をベースにして、ナノコンポジット材料とは何か、また、それを使って3Dプリンティング技術(アディティブ製造技術)に応用した事例などを紹介いただきました。

講演会イメージ


第1部:ポリマーナノコンポジットの基礎と特性、応用

私の講義はどのような場合も必ずナノテクノロジーの初歩から入ります。初めに、物質の大きさを表す例を取り上げます。例えばDNAの直径は2.5nmくらいと最も小さく、バクテリアはその1000倍の2.5µm、そして大きな雨粒だと2.5mmくらいですから、その1000倍の大きさということになります。

では、なぜナノサイズが重要なのでしょうか。1nmは10-9メートルで、原子の直径の4倍という大きさです。これから議論する重要なポリマーは40nmという大きさです。このことをぜひ覚えていていただきたい。これだけ小さいからナノ粒子は相互作用しやすいのです。ナノ粒子には、平面のナノクレイ(微粒子の粘土)やナノグラフェンを1次元、CNT(カーボンナノチューブ)を2次元として分類すると、ポリマーコンポジットは3次元のグループとなります。

材料の性質を変えるナノコンポジット

次に、なぜナノサイズが独特であるのかを説明します。図1-1(スライドP8)を見てみましょう。

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