シリンジ内の泡にお困りではありませんか?ARC-40H/55Hで充填作業を効率化!
2024/12/06
材料(ペーストや樹脂などの粘度の高い液剤) のシリンジへの充填作業は、様々な分野の研究開発、製造現場で必要となるプロセスですが、シリンジへの気泡の混入および混入してしまった気泡の除去に頭を悩ませている方も多いと思います。
本記事では、シリンジ内の気泡がその後のプロセスに与える影響と何故シリンジ内の脱泡が難しいのかを説明いたします。また、その課題の解決策として、シンキーがご提案するあわとり練太郎とシリンジ充填機を組み合わせた「泡なしシリンジ充填」をご紹介いたします。
泡なしシリンジ充填をおススメする理由
シリンジ充填を行う方々の中には、手作業で対応している方も多いと思います。その際、大量の気泡が入ってしまうため、充填後に脱泡処理が必須となります。
シリンジ充填機を使用して充填した場合、(充填)作業の手間と泡の課題を同時に解決することができます。シンキーの小型シリンジ充填機(ARⅭ-40H、ARⅭ-55H)は、あわとり練太郎と組み合わせてご利用いただくことで、目視レベル~サブミクロンレベルの気泡の混入を防ぎながら充填することが可能です。
続いて、材料に気泡が混入するとどのような影響があるのかご説明します。
材料に気泡が混入すると
材料に気泡が混入すると、微少量の材料を正確に塗布できなくなる他、空打ちやエア噛み、途切れなどが発生しやすくなります。これが吐出不良の原因となり、結果として塗布の精度が低下して製品の品質にばらつきが生じ、歩留まりが低下することがあります。接着剤の場合には、塗布時に空隙(くうげき)が発生すると接着強度が低下する場合があります。よってシリンジに材料を充填する際には、気泡の混入に注意する必要があります。
シリンジ内の脱泡は何故難しいのか
シリンジ内の材料の脱泡が難しい要因はいくつかあり、要因が重なるほど脱泡が困難になります。
要因その1 シリンジ内が狭い空間のため
シリンジは筒状で内径が狭く、気泡が抜けにくい構造です。特にノズル先端部分付近に気泡が混入した場合、液面まで距離があり、脱泡が難しくなります。
要因その2 材料の粘度による要因
接着剤、樹脂材料など、充填する材料が高粘度であればあるほど、特に気泡が混入しやすく、また一度混入した気泡が抜けにくい特徴があります。また、高粘度の材料は流動性が低いため、気泡が材料内に閉じ込められやすくなります。特に、シリンジの下部に入り込んだ気泡は、材料が高粘度であるほど液面まであがってきにくく、抜くことが難しくなります。
その他の課題として、手作業で充填すると、大量の気泡を巻き込むため正確な充填量が把握できない、複数本の作業の場合、充填量のばらつきが出てしまう、また、材料のロスへつながるという課題があります。
あわとり練太郎+シリンジ充填機の利用で、泡なしシリンジ充填
シンキーでは、高精度なシリンジ充填の実現のため、あわとり練太郎で撹拌・脱泡処理をした材料の充填をご提案しております。シリンジ内での脱泡ではなく、脱泡済みの材料を充填することで、気泡の混入を抑制します。この時、いかにして気泡を入れずに充填を行うかが重要なポイントとなります。
【シンキーからのご提案!泡なしシリンジ充填の方法】
STEP1:あわとり練太郎で材料を撹拌・脱泡処理、STEP2:処理が完了した材料を充填機で充填
あわとり練太郎で撹拌・脱泡処理した材料を、容器のまま充填機のステージにセットします。充填用の容器に移し替える手間がなく、移し替え時の気泡混入の心配がありません。容器移し替えの工程を省くことで、気泡が混入する要因を減らすことができます。
装置の組み合わせの例
手動式小型シリンジ充填機 ARⅭ-40Hは、あわとり練太郎ARE-312と組み合わせて使用することで、目視レベルの気泡の対策に適しています。3ml~10mlまでの材料を、同時に4本のシリンジへ充填が可能です。材料例としては、UV硬化性材料、導電性ペースト、エポキシ樹脂などがあります。
手動式小型シリンジ充填機 ARⅭ-55Hでは、最小3ml~最大55mlまでの材料をシリンジへ充填が可能です。ARⅭ-55Hと真空タイプのARV-310Pを組み合わせることで、顕微鏡で確認するような微小な気泡の対策を講じることができます。20ml以上のシリンジは、最大2本まで同時に充填が可能です。材料例としては、シリコーン、グリース、ポリウレタンなどがあります。
泡なしシリンジ充填を実現する装置の組み合わせの例
手動式小型シリンジ充填機 ARC-40H/ARC-55Hについて
手動式小型シリンジ充填機 ARC-40H/ARC-55Hは、中粘度から高粘度までの材料充填が可能です。
(左から)手動式小型シリンジ充填機 ARC-40H/ARC-55H、2本ずつ均一に充填されたシリンジ
ARC-40H/ARC-55Hの充填の仕組み
ARC-40H/ARC-55Hでは、ハンドルを回してシリンジをセットしたピストンを降ろします。降りてくるピストンに合わせてステージが回転し、指一本分程度の軽い力でもハンドル操作が可能です。
ARC-40H/ARC-55Hの充填の仕組み
ハンドルでピストンを降ろした後、真空ポンプで真空引きします。材料の入った容器内、シリンジ内が真空状態になり、その真空状態でピストンが材料を押し、シリンジ内へ材料が上がってきます。
真空状態下でピストンが材料を押さえつけ、シリンジ内へ材料を押し込む
ハンドル操作に必要な力を最小限に、指一本で回せます
様々な小容量シリンジに充填が可能
ARC-40H/ARC-55Hでは、最小は3mlから、最大55mlの小容量シリンジへの充填が可能です。2本以上のシリンジへ同時に充填が可能です。容器とピストンを回転させながら充填することによって、各シリンジへの充填量のばらつきがほとんど出ないようになっております。
対応シリンジサイズ | ARC-40H | ARC-55H | 同時処理本数 |
---|---|---|---|
3ml、5ml、10ml | ● | ● | 4 |
20ml、30ml、50ml、55ml | – | ● | 2 |
装置ごとの主な対応シリンジサイズ表
その他のシリンジ・バレル各種は、特注対応品として対応が可能です。70mlシリンジ、100mlシリンジ、および各種バレル(70ml、100ml、170ml、340ml)等の対応実績があります。
使用後は付属の専用洗浄容器で洗浄の手間を軽減
使用後は、ピストンやピストンの固定板、各部のゴムパッキン、キャップ等をエタノール等の溶剤と共に専用の洗浄容器に入れて、あわとり練太郎で撹拌し、洗浄の手間を軽減することができます。
まとめ
泡なしシリンジ充填には、あわとり練太郎と小型手動式充填機のセット利用がおすすめ
シリンジ充填時の気泡対策で、工数や材料ロスの削減、作業時間の短縮や作業精度のばらつきの抑制等につながり、生産性の向上が期待できます。
今回の記事では、卓上サイズのシリンジ充填機ついてご紹介しました。特に、ハンドルを降ろす際の軽やかな操作感は、実際に使用してみるとその滑らかさに驚かされます。シリンジ充填機の導入を検討されている方は、ぜひ一度その操作感を体験してみてください。
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THINKY 手動式小型シリンジ充填機 ARC-40H
THINKY 手動式小型シリンジ充填機 ARC-55H
THINKY あわとり練太郎(大気圧タイプ) ARE-310
THINKY あわとり練太郎(真空タイプ) ARV-310P