シンキー応用技術課インタビュー
2015/09/17
※本記事は過去に配信したメールマガジンの内容です。内容は配信当時のものとなります。
開発部応用技術課の役割は?
主に、お客様が製品を購入する際の「事前検討」をお手伝いしています。お客様から提供された材料を使って実験・検証を行い、「この機械ではここまで分散・脱泡ができます」という、機械の最大パフォーマンスを示すことが私たちの役目です。
シンキーには多くの機種がありますが、その中で上記の実験・検証が必要になるのは、中型・大型機で、特に容器に専用、もしくは特別なアダプターを装着するようなケースがほとんどです。小型機の場合は、一定期間デモ機をお貸し出しすることで、お客様ご自身で評価いただける場合が多く、私たちの出番はあまりありません。中型・大型機では、オリジナルのアダプターを設計する必要性なども含め、かなり複雑な検討が必要になります。
成果の判断はどのように行う?
まず、事前にお客様のご要望をしっかり伺って、どのような物を求められているのかを正確に把握する必要があります。粉砕機の場合は目標到達粒径などがはっきり決められていますが、ミキサーの場合は数値化が難しいので、目視で混ざり具合を評価したり、実際に次の工程でどのようにご使用いただくのかにより判断し、評価をします。いずれの場合も、お客様の求めるターゲットを正確に理解していないと、それに近づけるための作業も困難になりますので、事前のヒアリングに力を入れています。
また、先端材料になればなるほど、「混ざるか混ざらないか」「どの程度混ざっているのか」の評価が難しくなります。目視で観察してもわからない場合は、お客様に混ぜた材料を持ち帰っていただき、ご要望を満たすかどうかを判断していただくことになります。
お客様へのヒアリングから得るもの
お客様のニーズを直に伺う機会が多いので、それを新製品開発に活かすことも多々あります。お客様から「こんなことをしたい」という要望を伺った時に「それはできません」というだけでは価値が高まりません。「できないことをできるようにするためには?」という発想を常に心掛けることで、新たな製品のアイデアも生まれてくるのです。シンキーのコア技術である自転・公転の回転機構に新しい技術を取り入れることなど、お客様の新たな課題を解決できないか、常に考えています。
例えばお客様から粉砕に関する課題があると聞けば、ミキサーの容器の中にボール(メディア)を入れて粉砕に特化した製品を作る。LED材料のメーカー様で蛍光体の沈降が課題になっていれば、沈降を防ぐための機械機構を考える。そのように開発を進めてきました。
7月に開催した「自転・公転テクノロジー展」で発表したナノ粉砕機「PR-1」という製品も同様です。コア技術である回転機構に、超音波という新しい技術をプラスすることで、凝集しているカーボンナノチューブを分散することができました。
トレンドや業界動向などの情報収集はどのようにしている?
新しいニーズは常に意識して探すようにしています。学会や展示会に足を運ぶこともあります。「あわとり練太郎」を使ってくださっている研究者や技術者の方に話を伺う機会があると、とても勉強になります。例えば、電池の電極材のスラリー調製には標準的にシンキーのミキサーが使われているのですが、機密情報などもあって、私たちメーカーでもなかなか知ることはできませんでした。電池学会などの発表にこまめに足を運ぶことで、そういった情報を得ることができたのです。
また、先にお話しした顧客対応の経験を通して、材料自体の知識や情報を得ていますので、次のトレンドやニーズを掴み、設計スタッフにフィードバックすることで、新製品の開発に活かしています。お客様からヒントをいただくことが、私たちの製品づくりの糧となっています。